スポンサーインタビュー vol.02~福田金属箔粉工業株式会社~
2025/7/30| 取組事例 オフィシャルスポンサー スポンサー
弊社社長の飯野晃が日頃よりご支援いただいているオフィシャルスポンサー各社にご訪問させていただき、スポンサーになったキッカケやサンガに期待していることなどをお聞きする「スポンサーインタビュー」企画をお届けいたします。
4月12日、サンガスタジアム by KYOCERAで行われたJ1第10節湘南ベルマーレ戦から、ピッチ脇にカラフルでヴィヴィッドなLED広告が流れている。京都で産声を上げて300年以上の歴史を持つ「福田金属箔粉工業株式会社」(本社・京都市山科区)が、今年初めてプラチナスポンサーとなって打ち出した広告だ。老舗企業がなぜ今、サンガなのか。福田宏樹社長を訪ねた。(聞き手・京都新聞社 大竹 逸朗)
会社の事業内容を教えていただけますか。
福田:弊社は1700年に松原通室町で創業しました。元々、仏壇仏具や屏風用の金箔や金属粉を扱っていましたが、現在は、自動車産業や電子電気産業など、多様な産業向けに金属箔・金属粉を提供しています。
社長は何代目ですか?
福田:創業からだと13代目ですが、株式会社の社長としては7代目になります。1999年にアメリカに行き、ボストンにある大学で学位を取って戻ったのが2009年で、2010年に福田金属に入社し、今年の3月に社長に就任しました。
ファン・サポーターにとって身近な商材もあるんでしょうか。
福田:スマートフォンや家電の中の電子回路の基板に使われている電解銅箔ですね。他には、自動車関係の回転部品の軸受けに使われる材料や、看板や建物用の建材も提供しています。
飯野:私も京セラ時代にアメリカにいました。私がアメリカで売っていたスマートフォンにも福田金属箔粉さんの材料が入っていた可能性は多分にありますね(笑)
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福田金属箔粉工業株式会社本社ショールームにて
福田社長はサッカーとのつながりはあったんでしょうか。
福田:私が住んでいた実家は北山の方だったんですが、子供の頃に友達と遊ぶぐらいで、チームに入ることはありませんでした。小、中学生の頃は、サッカー好きな人が紫光FCで練習していた記憶があります。
なぜ協賛することになったのですか。
福田:きっかけはスポンサーをされている企業様からのご紹介を受け、社内で諮りました。正直5年前なら『どうしようかな』となっていたかなと思うんですが。
飯野:5年の違いは何でしょうか?
福田:採用環境が極端に厳しくなっていることが1つあります。もう1つは、地域や環境に関する活動が企業に求められており、それらの機運が急激に高まったタイミングでお話をいただきました。どうせやるなら効果が見える形から始めようとプラチナスポンサーとなりました。今回のような規模はわれわれとしては初めてです。
飯野:江戸時代に創業された京都の企業さまがスポンサーになっていただき、ものすごく新鮮というか、うれしかったです。
具体的にどんな協賛をされているんでしょうか。
飯野:認知度やブランドの浸透を目標とされていたので、試合中にピッチ脇に流れるLED広告を提案させていただきました。社長のアイデアとうかがいましたが、絵と文字を組み込ませて、動画っぽくインパクトある広告に仕上げていただきました。
福田:弊社の商材は産業用の材料ですので、一般の方が目にされることはほとんどありません。LEDでフルカラーとお聞きして、ぜひ箔の薄さやしなやかさ、粉末の多様さといった材料の魅力を感じていただきたいという思いがありました。
飯野:われわれの学びもありました。会社のロゴを流すだけではなく、思いを持ってLED広告を捉えれば、われわれのアドバイス力をもっと高められるのではないかと。今後スポンサーになっていただく企業様には福田金属箔粉さまの事例をお見せしながらお伝えできます。
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試合中に放映されているLED広告
海外展開している御社として、世界への宣伝広告も戦略としてあったのでしょうか?
福田:海外で試合が中継される中で、看板やLED広告が目につけばという思いは少しありましたが、メインターゲットは、従業員のモチベーションアップや学生さんが見て福田金属箔粉という名前を知り、興味を持ってもらうことでした。
反響はどうですか。
福田:採用面はまだ分かりませんが、社内的な話では、社員が自由に持っていってよい形で置いていたサンガのポケットカレンダーがすぐなくなりました(笑)。あとは特典としてサンガシートのチケットを頂いているので、これを福利厚生の一環として従業員に応募を呼びかけ抽選で配布しているのですが、毎回すぐ埋まります。かなり反響はあると思っています。
サンガシート以外に、VIPラウンジも利用されていると聞きます。福田社長はプロのサッカーの試合の観戦は経験ありますか。
福田:現場を知るために、幹部全員が一度は伺えるように順番に利用させていただいています。私も先日の新潟戦(7月5日)で初めて観戦させていただきました。その日は最初から最後まで想像以上の熱気に圧倒されました。京都駅からJRに乗ってスタジアムに向かったのですが、嵯峨野線(山陰本線)は、京都駅のホームの端ながらすごい人の流れがあって。早めに行ったのですが、車両もすし詰め状態で、想像以上に人気があると感じました。実際のプレーももちろん迫力がありましたが、ホームやアウェイに関わりなく、ファンの皆さんの熱狂具合がすごい。あれだけ集客して熱狂させる魅力が、実際に見て楽しむスポーツにあるんだというのを、よくよく感じられた試合でした。みなさんジャンプしますしね。ファンの方の一体感を強烈に感じます。スタジアムの底が抜けるんじゃないかと思うぐらい(笑)
飯野:ゴール裏の皆さんは本当に熱く応援してくれますからね。
福田:毎試合ゴール裏で応援している従業員がいるのですが、われわれもサンガのユニフォームを着て、スタジアムの雰囲気を感じながら応援させていただきました。熱狂する方の気持ちがよくわかりました。
飯野:VIPラウンジにはいろんな企業や行政の方がいらっしゃいますが、ゴールが決まるとみんなで握手したりハイタッチして喜び合うんですよね。
福田:そうですね。一般の企業・団体が主催する懇親会よりも親近感が湧くかなとは思います。
飯野:福田金属箔粉さんもそうですが、スポンサー企業の幹部の皆様が、自ら組織の中でサンガが浸透するように努力していただいている。お忙しい中、スタジアムに足を運んでいただけるのは本当にありがたいことですし、サンガが浸透していくためのキーなのかなと思います。
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金色のスペシャリストにリミテッドユニフォームをお披露目
社長が気になる選手はいますか。
福田:名前つながりじゃないですけど、福田心之助選手はやっぱり親近感が湧きます。弊社にもコアなファンがいまして、福田と書いてあるユニフォームを持ってきて見せてくれました。
飯野:ユニフォームでいうと、毎年夏にリミテッドユニフォームを作っていて、今年の色は『金色』なんです。ちょっと聞くのも怖いんですけど金色のスペシャリストとしてどう思われますか(笑) ※ユニフォームの実物を見せる
福田:きれいな色だと思います。ホームページで、ユニフォームを着た選手が昔ながらの家で写真に納まっていましたが、色と合っているなと思いました。ただちょっと正直に言わせていただくと、金色かと聞かれると、あんまり金色ではないかな(笑)
今後クラブと地元企業が結びつきを深める上で、どんなことが必要でしょうか。
福田:地域貢献活動の中に、小学校でサッカー教室をしている話をうかがいました。サッカーとは畑違いの企業ですので、幅を広げた活動に我々も一緒に協力させていただければ継続性もあるなと感じます。以前小さいグラウンドを近隣のスポーツ団体に提供していたことがありましたが、サッカー教室などで近所の子供たちの活動に協力ができれば面白いなと思います。
飯野:われわれはスポーツクラブですが、京都地域の公共の持ち物でもあります。昨年、福田心之助選手らが高齢者施設を訪問したら、後日、その時に触れあった方々が練習場まで遊びに来てくださった。鈴木義宜選手や太田岳志選手も小学校を訪問して講演しました。そういったところでも一緒にできればと思います。
サンガは1922年に京都師範学校(現京都教育大)のOBが立ち上げ、J屈指の歴史があります。その3倍もの歴史ある会社が支えてくれることになりました。それぞれ歴史を刻む責任について聞かせていただけますか。
福田:まず今頂いてるお客様の要求に真摯に向き合い対応していく。その積み重ねが結果的に10年、100年になるだけであって、目の前のお客様を意識することが一番重要なのかなと。地元に応援できるプロのチームがあることは幸せなことです。色々な幸せに1つ1つ巻き込んでいくことが、スポーツの意義。われわれ企業も同じく、製品をご愛顧いただいているお客様があれば、それに一つ一つ製品やサービスで対応していく。ただそれだけの意識があれば次につながるのかなという認識です。
飯野:われわれも心に置かないといけません。私もビジネスを通して「現在は過去の努力の結果だ」と教わりました。同時に「今日頑張らないと明日以降の未来は作れない」と。例えば今年のわれわれの活躍は、過去30年間頑張っていただいた方たちの努力の上にあります。でも明日以降の結果は我々がどれだけ頑張れるかにかかっています。今年、クラブ史上初めて一時はJ1リーグで1位に立つことができました。アウェイで鹿島アントラーズに初めて勝つことができました。いろいろな歴史を塗り替えることができている年ですが、明日から成功しようと思うと、今日死に物狂いで頑張らないといけないと思っています。
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(左)飯野晃 (右)福田金属箔粉工業株式会社 福田宏樹 社長
京都にはまだサンガのスポンサーではない老舗企業も多くあるはずです。サンガとして、今後どう協賛を仰いでいきたいですか。
飯野:福田社長のお言葉と似てくるかもしれませんけど、まずは福田金属箔粉さんにわれわれがお役立ちして、サンガを応援して良かったと思ってもらえることが第一歩です。そこにはアイデアと行動力が必要です。ちゃんと額や脳に汗をかいて、新しいアイデアを出していきたいと思います。
福田:今回サンガさんをサポートすることが、地域の文化振興にも企業として役に立てるというところにつなげていけると、単にスポーツをする方たちのスポンサーというもの以上の意味が出てくるのかなと思いますので、いろいろと模索できればと思います。