スポンサーインタビュー vol.03~株式会社京和設備~
2025/9/11| 取組事例 オフィシャルスポンサー スポンサー
弊社社長の飯野晃が日頃よりご支援いただいているオフィシャルスポンサー各社にご訪問させていただき、スポンサーになったキッカケやサンガに期待していることなどをお聞きする「スポンサーインタビュー」企画をお届けいたします。
キックオフ約45分前。京都サンガF.C.の選手たちが、揃いの赤のウォーミングアップシャツに身を包んでピッチに現れた。体と心に火をともし、戦闘態勢に入っていく。そんなシャツの左胸に今年、ひとつの中小企業の名前が入った。プラチナスポンサーの「株式会社京和設備」(本社・京都府長岡京市)。今年ゴールドからランクを上げた気鋭の経営者は、どんな思いで協賛を続けているのか。橋並将人社長を訪ねた。(聞き手・京都新聞社 大竹逸朗)
空調・換気設備に関するダクトの設計、製造、施工を事業とされています。
橋並:2011年、35歳の時に従業員2人で開業し、今は27人います。それまでは会社員で同じ仕事を13年ほどしていました。
飯野:経営理念の『みんなに誇れる会社をみんなで作る』は、どんな背景でつくられたのですか?
橋並:会社員の時から年上の方と仕事をすることが多く、相手に対する感謝やリスペクトを持って生きてきました。自分が社長になった今も、従業員や協力会社さんのおかげでしかありません。自分の家族に自慢できる会社になれるのが一番いいなと思ったんです。みんなが、家族や顧客、地域みんなにという意味があります。
飯野:御社の理念を聞いて、"みんな"というところにピンときたのは、新しく作った後半戦のポスターにあるんです。
橋並:(ポスターを見て)これはもう優勝してませんか(笑)。多分伝説になりますよ。
飯野:ポスターに込めたコンセプトは、「全員が一体になって戦う」なんです。ポスターの中にいるのは、全選手、全スタッフなんです。1人ずつ撮影して、デザイナーさんが組み込んでくれたのですが、一体感が出てすごく良いものができました。デザインを発表したところ、ファン・サポーターの反応がとてもよかったので、次の日には「よし、アクスタにしてみんなにも持ってもらおう。京都中の家庭やオフィスに置いてもらおう」と、配布を決めました。今度清水エスパルス戦(9月20日)で、アクリルスタンドとして来場者1万3500人に配ります。
橋並:ネットでかなり盛り上がっていました。(サンガのスローガンの)共有ですよね、まさしく。チームも体現されていますね。誰もサボらない。走り続ける。天皇杯の横浜FC戦(7月16日)で(太田)岳志選手の得点で3-3に追い付いた時なんか、まさに『みんなで』でしたね。PKも2本止めるという。次の日から、ガクジのジが『神』になって、太田岳神になっていました(笑)。僕は佐藤響選手と岳志選手推しなんです。
スタジアム観戦もされていますか。
橋並:ホームは3月末から全部行っています。昨年までは忙しかったのもあって、2~3回ですが、今年4月から社員の幸福度を上げようと休日を増やしました。気兼ねなくサッカーに行けるようになり、僕の幸福度も上がっています(笑)。こんなにハマるとは思っていなくて、従業員も驚いています。
スポンサーになったきっかけを教えてください。
橋並:スポンサーをされている企業様からのご紹介です。僕は京都出身ですが、スポーツ経験は特段ないです。2022年のワールドカップで、『三笘の1㍉』に感動して、サッカーっていいなとなり、23年からサンガさんのスポンサーを始めました。
スタジアムの印象はどうでしたか。
橋並:芝生の緑がすごく印象的でした。きれいで、整理されていて、コンパクトできっと見やすいだろうなって。保育園にも開放されていると伺い、良い取り組みをされていると思いました。初めて見た試合は、2023年の開幕戦、鹿島アントラーズ戦です。サッカーを知らないので探りながらでしたが、臨場感や迫力がすごかった。選手同士の声もボールが当たった音も聞こえて。
サンガにハマるきっかけにもなった佐藤響選手推しの理由も教えてください
橋並:ユニフォームの背中に『KYO』とあって、京和の京と一緒だったという、そんな小さなキッカケからです。スポーツ観戦の経験がないので、最初は個人に感情移入できなかったんですが、響ちゃんをフォーカスして見ると、他にも川﨑颯太選手がかっこいいとか、原大智選手もうまい。推しを見つけると楽しみ方が増えました。
飯野:ありがとうございます。ファンになっていただくのにキッカケって大事ですよね。私たちもなるべく選手の素顔や横顔を発信して少しでも親しみを感じていただけたらいいなと思って努力しています。佐藤響選手でいえば、この間、1日郵便局長を務めた動画を発信したんですけど、とても良い動画になっていて、その場にいなかった人たちにも雰囲気を伝えることができたと思っています。(※1日郵便局長の映像はこちら)
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ウォーミングアップシャツ鎖骨広告
クラブのスローガン「共有」と京和設備の経営理念が似ていますね。
飯野:実はこのスローガンは、地域に対して笑顔や楽しさを共有すると言っていますが、社内に向けては少し違う使い方をしています。自分の仕事の夢や課題を共有しようと言っています。そうすることで、横にいる仲間が違う知見や技術を持って手伝ってくれるからです。結果、クラブとして手掛けるプロジェクトが最高値のクオリティーに上がる。やるなら最高のものを出そうよと、「共有して、連携だ!」と、いつもクラブ内で言っています。
最初からランクをゴールドにされたのはなぜですか。
橋並:やるならちゃんとやらないと、誰に対して何をやっているか分からないですし、自分なりにできることを精いっぱい、どうやったらできるかというところから始まったので。
協賛内容を教えてください。
飯野:ゴールドの時にLED看板からスタートしていただきました。今年からは全試合の試合直後に結果をX、Instagramで紹介する『フルタイム』をスポンサードしていただいています。1試合30万~40万回見られるキラーコンテンツのひとつです。もう一つは、ウォーミングアップシャツのスポンサーも鎖骨のところに入れていただきました。
橋並:弊社も今年初めてSNSを始めました。リクルート用のSNSを作るなど今年で形にしたいと思っています。
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試合中に放映されているLED広告
反響はどうでしょうか。
橋並:お客さまや同業者からの問い合わせがすごいです。シャツに載せた社名への反響が一番大きいですね。この間、FC東京戦後の中継インタビューで、シャツを着たラファエル選手がインタビューを受けていて、仕事を頂いてる方から電話がありました。息子さんがサンガのスクールに通っているらしいです。よかったら一緒に試合を見に行きましょうという話にもなりました。残念ながら仕事の話はなかったんですが(笑)
橋並:また、サンガのサポーターの人たちは僕らにもお礼を言ってくれる。「スポンサーしてくれてありがとうございます」って。スポンサーしていただいてるだけでもみたいな。どの目線で話してるんですかみたいな(笑)。サポーターの人までが『みんなで』というのを感じます。
飯野:サポーターは本当にクラブの社員並みの、いや、社員以上かもしれないですね。スポンサーに新しくなっていただきましたって発表したら、「ありがとうございます」と書き込みが連呼しますから。サポーターの皆さんのスポンサーへの思いってすごく純粋で、本音で感謝してると思います。スポンサーさんたち1社1社の支援があって、俺たちの選手がいると分かっているんですよ。選手がいるのはスポンサーさんのおかげだと。スペシャルデーの企業に対しても必ず手書きのお礼をしたためた横断幕が出ていますし。
橋並:気持ちがすごい伝わりますよね。Xでも、スポンサーに感謝は忘れたらあかんからスポンサーがつぶやいたことはみんなで拡散しよう、みたいな投稿があって、みんなすごいなと感心しています。
スポンサーになられて、プレミアムルームやVIPルームなどの席で観戦もできるようになりましたが、いかがですか。
飯野:この間も東京ヴェルディ戦でスカイボックスを利用していただきましたね。
橋並:長岡京市出身のロックバンド『ローカルコネクト』と、従業員とその家族です。私だけでなくお客さんも使っています。小さいお子様がいらっしゃる人は、お子様が疲れても寝かせられるし、中で遊ぶこともできて、喜んでおられます。福利厚生で従業員と一緒に行く時もあります。
橋並:会社で支援学校生の実習を受け入れているのですが、実習を受けた1人がサンガの試合を観戦していると話していて、たまたま天皇杯の試合で、スタジアムでばったり会ったんです。お姉さんと2人で見に来られていて。お姉さんも数年前に会社見学をしてくれた子で、姉弟であいさつしてくださった。本当に楽しいです。
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スタジアムVIPルーム
サンガがさまざまなところでコミュニケーションツールになっていますね。
橋並:スポンサーになってから知りましたが、社内に数人熱烈なサンガファンがいまして、社員の1人は元々ガンバ大阪のファンで、6/28にサンガが快勝したガンバ戦もみんなでスカイボックスで見たんですが、彼はちゃんとサンガのユニホームを着ていたんです。『1人だけガンバを応援する人がおるんちゃう』と言ったら、『なんでバレた!』って、その下に宇佐美選手の名前が入ったガンバのユニホームを着てたんです(笑)。みんなで笑ってました。
飯野:人が会う時の端々に、サンガが媒体で存在して、コミュニケーションや笑顔が生まれたらいいなというのが目標なので、そういう姿を作れたなら本望です。
お話を伺うと、リクルーティングや会社の周知での反響だけでなく、社長自ら地域貢献にもつなげている印象すら受けます。
橋並:社会に還元するのは経営者として道義的責任があります。利益の何%かは社会に還元できないといけませんし、スポンサーはその活動の一つですよね。初めはプラチナだと続けられないかも、とゴールドから始めましたが、勝手に熱くなったんでしょうね。来年から秋春制にシーズン移行するのに、新しいJリーグの始まりにサンガがJ1にいない、そんなことをさせるわけにいかないと思ったら、スポンサーとしてできることをしようと思い、来年の分も契約しました。
2025年だけでなく、2026年の特別大会も含む1.5年分の契約を結んだと言うことでしょうか。
橋並:はい。環境を作ってしまえば、人間はそれに向かって成長してくれます。僕もそうありたい。頑張って自分を追い込んで、来年もサポーターのままでいたいなと思ったので。
飯野:J1とJ2では広告価値は違うという考え方もあると思いますが、自分たちは何があってもこのクラブを応援するんだと言ってくださる京和設備さまのような企業さまは本当にありがたいです。強くても弱くても、勝っても勝ってなくても応援したくなるようなクラブ、サンガは地域の宝だからみんなで応援して支えようと思ってもらえるクラブになるのが、僕らフロントの責任だと思っています。その意味でも1日郵便局長や学校訪問など、普段から何らかの形で地域に貢献することでそういうクラブになれるかなと思っています。
長期のスポンサー契約を結ばれ、今後どのように支援していきたいですか
橋並:去年まではJ2に落ちたら(スポンサーを)辞めてたかもしれません。でもそうならないために自らプラチナを選んだので、継続していかないと駄目じゃないですか。最初は無理のないところからゴールドでしたが、プラチナスポンサーは永続的にできるようにしたいです。従業員とその家族もいるので、経営者としてのプレッシャーは感じていますが。
飯野:わかります。私もずっと胃が痛いです。
橋並:でも月曜日に機嫌よく仕事できるのはサンガさんのおかげです。
クラブへの要望はありますか。
橋並:選手グッズやSNSでとても頑張ってくださっていますが、より集客を上げるために、もっと来るキッカケを作っていただきたいです。アベレージで1万8000人は入れたいですよね。
飯野:今年は昨年より集客活動のギアを上げてきました。東京V戦でのリトグリ(リトルグリーモンスター)のハーフタイムショーは、Jリーグに手を挙げてやらせていただきました。東広場にフレンズ広場を設けてファミリーで遊べるようなスペースを作り、毎回選手にも出てもらっています。清水戦では、後半戦のポスターをアクリルスタンドにして配るだけではなく、京都に多い大学生をご招待する企画も実施します。京都府内から1人でも多く来てもらえるようにして、ここからは、毎試合1万8000人は目指したいです。
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(左)飯野晃 (右)株式会社京和設備 橋並将人 社長
スポンサーの輪を広げるために、どんなことが必要と考えますか。
橋並:大企業のスポンサーも多いですが、僕らみたいな中小企業もスポンサードしているんだということが、きっかけになったらいいなと思います。それから、会社で見に行ってもらったりして、推しの選手も探したらハマっていくと思いますね。クリスマスやハロウィン、花火大会など、季節のイベントにサンガの協賛があれば、スポンサーも付くと思います。少しでも心の隅に紫色があったらいいですね。