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スポンサーインタビュー vol.04~クアルコムジャパン~

2025/10/15| 取組事例 オフィシャルスポンサー スポンサー

弊社社長の飯野晃が日頃よりご支援いただいているオフィシャルスポンサー各社にご訪問させていただき、スポンサーになったキッカケやサンガに期待していることなどをお聞きする「スポンサーインタビュー」企画をお届けいたします。

スマートフォンなど通信系の半導体メーカーで世界屈指の売上シェアを誇るQualcomm Technologies, Inc. (米国、以下 クアルコム)の日本法人であるクアルコムジャパンが今年9月、J1京都サンガF.C.のスポンサーになった。クアルコムはイングランド1部マンチェスター・ユナイテッドのユニフォームの胸スポンサーにもなったほどだが、なぜ日本法人が京都にー。都内で中山泰方社長に話をうかがうと、意外な事実と大きな野望が見えた。(聞き手・京都新聞社 大竹逸朗)

中山社長は京都出身でサッカーもされていたそうですが、まず経歴を教えていただけますでしょうか。

中山:生まれと育ちが京都市北区上賀茂です。親が運動をさせたかったようで、京都教育大付属小の1年生ぐらいから、左京区高野で友達と、冬はアイススケート場でホッケーを習い、夏はテニスをしていました。その友達がサッカーをするというので、私も一緒に小学4年から紫FCでサッカーを始めました。

サンガの曺貴裁監督も出場した京都の小学生の大会「KBSカップ」にも出場され、ベストイレブンに選ばれていますね。

中山:(紫FCは)大会で1位や2位になることが多かったチームでした。小学校と中学校、高校の最初も京都選抜だったと記憶しています。

サンガの細川浩三取締役は同じ学校の1学年下で、中学時代は京都選抜でチームメートだったそうですね。

中山:(細川)コウちゃんはめちゃくちゃ上手かった。私は左ウイングで、パサーがコウちゃん。私は今の仕事と変わらずパワープレーで走るんです。足が速かったので、コーナー目がけて走っていました(笑)。

細川取締役は『1つ上の年代は頭が良かった』と。京都サンガと京セラと学校法人立命館による「スカラーアスリートプロジェクト」の立ち上げに携わる際、当時の中山社長含む学年が文武両道に努めていたことが頭に残っていたとおっしゃっていました。

中山小学生の時の練習は土曜日だけで、基本的に自主練習。普段自分たちがどれだけサッカーをやっているかに懸かっていました。でもサッカーばかりになると学校の成績が落ちる。それをコーチが嫌い、友だちの家にみんなで集まって勉強を教えてくれました。成績が悪いと試合も出してもらえない。また、練習ではめちゃくちゃ走らされました。頭と体力で負けへんから自分たちで考えて試合をしろと、あえて戦術も言われない。考える姿勢を取り込んでくれたのはあの環境でしたね。

ではサンガとはどうつながったのでしょうか。

中山:クアルコムジャパンの前社長が今京セラさんで社外取締役をされていて、飯野さんと私、そしてアジアパシフィック地域の責任者である私の上司と4人で昨年の7月に京都で会食をしました。飯野さんが三洋電機に勤めておられた時に、私の上司が当時アメリカの携帯電話大手だったスプリントで三洋電機さんの担当窓口をしていて、旧知の仲だったんです。

飯野:皆さんとは三洋、京セラとずっとつながっていて、私が通信・IT業界を離れてサンガに移るというので、激励会を開いてもらったんですよね。

中山:当時のパートナーだった飯野さんに激励と感謝を伝えたいというところが背景です。そこで飯野さんからスポンサーシップの提案を受けました。

クアルコムのチップを搭載した京セラの歴代の携帯電話

中山社長と飯野社長の出会いはいつですか。

飯野:三洋電機時代に私がマーケティングの担当で、中山さんはクアルコムの営業マンでした。本当に外資系のやり手セールスマンの典型と言う感じで(笑)。2003年が初めての出会いです。

中山:海外商品企画の責任者をやっておられましたよね。携帯電話の部品の1つが、私たちが当時の三洋電機さんに購入いただいていたチップです。およそ1年に1回、新しいチップが出ますが、そのご紹介やご提案を飯野さんにしていました。

飯野:クアルコムさんとは京セラに行ってからも付き合いがありました。(米国の京セラのグループ会社社長として)カリフォルニア州サンディエゴ市に行くと、同じ市にクアルコムの本社があり、クアルコムから転職してきた社員がいたり、クアルコムに転職していく社員がいたり。単に部品を売買する関係ではなく、世の中に新しいサービスを拡げていく同士のような存在だったので、違う会社の人たちという印象ではないんですよね。

中山:私たちが開発したCDMAという通信方式について、最初に契約を結んでくださったのは京セラさんでした。そして三洋電機さんも当時は大事なパートナーだったんです。

飯野:それらの歴史があって、今回のスポンサーシップにつながると思っています。

中山:飯野さんがされることに対して、全く関係のない会社さんとお話をするのとは感覚が全然違いますね。極めて近いパートナーなんです。

飯野:クアルコムさんはマンチェスター・ユナイテッドやF1のスポンサードをされていて、Jリーグのサンガは難しいのかなと思っていましたが、日本法人として決断していただくことができました。本当に嬉しかったですね。本業での中山さんたちは、日本のメーカーを活躍させたいと思いながら全力で伴走してくれる会社なんです。今回のスポンサードの件でもその姿勢は同じなんだなぁとしみじみ思いました。

中山:おっしゃる通り。いい意味で本店のことはあまり意識しないですね。もちろんお金などのやり取りはありますが、リージョン(地域)での仕事のやり方は任されていますので、どれだけ日本のお客さんが活躍されるかが、とても私たちの中では大事です。

選手入場口常設看板「Snapdragon」

京都サンガを応援する決断の背景を教えてください。

中山:飯野さんの存在を横に置いて、サンガさんがスポンサーを受けておられるパートナー様も、とても大切なお客さまです。例えばKDDIさんはエコシステムの1つの会社です。さらに、私自身が京都でサッカーをやってきたから今があるわけで、それも大きいです。サンガさんのチームの好調な成績も後押しになりました。ロゴは『クアルコム』ではなく、チップのブランド名である『スナップドラゴン』で出しています。

飯野:新鮮ですよね。アメリカのカリフォルニア州に拠点を置くグローバル企業の日本法人がスポンサーに入る例は、Jクラブでは多くないと思います。京都サンガというクラブを使っていろんな共創をして、成功事例にしていきたいなと思います。

中山:我々は世界で3番目の半導体メーカーですが、『座って左うちわ』のような会社ではありません。いつも新しいことをやっています。チャレンジをさせてもらえるような会社、チームが好きですね。

飯野:その点は今の京都サンガの立ち位置や、曺監督のサッカーと相性が合います。サッカーやF1にスポンサードしている狙いも教えてもらえますか。

中山:例えばメルセデス・ベンツで言うと、彼らは車の高いブランドを持っています。ちなみにメルセデスの前はフェラーリをスポンサードしていました。速い車は通信のスピードとイメージが重なりますよね。世界ではスポーツカーに対する広告投資をやっていますが、日本法人としてはしていません。私がスポンサードをしているのはサンガさんだけ。サッカーは『考えるスポーツ』であり、機敏な動きが混じった複合的な頭のスポーツだと思っています。それはコンピューティングと同じですよね。私たちはコンピュート会社というのが今の立ち位置で、スナップドラゴンは、スピードや考える力を示す上で、サッカーにはふさわしいと思います。

マンチェスター・ユナイテッドのケースと同様に、サンガのユニフォームに名前が入るかどうかも気になります。

中山:頑張ります。もちろんしたいですよ。2年目にお疲れ様でしたと言うつもりは全然ないです。ただ、(ユニフォームに名前を)入れてもらうためには、それなりのものを用意しないといけません。いきなりは難しいので、ストーリーを作ってやっていきます。

飯野:今現在でいうと、パンツの裏に空きがありますよ(笑)

現状でのスポンサードの内容を教えてください。

飯野:9月20日のホーム清水戦から、スタジアム内の選手入場口にスナップドラゴンの看板が入りました。LEDの看板やコンコースのサイネージにも広告が入っています。今後は何かデジタルでの発信も考えていければと思っています。

試合中に放映されているLED広告

中山社長がサンガを通じて成し遂げたいことは。

中山:契約はスタジアム内でのロゴの掲示です。サンガさんが目立つほど、他チームの人の目に付く。私はその点にも期待しています。サンガのチーム力や順位が上がれば上がるほど、他チームのファンの人がスタジアムに足を運ぶ。その機会を介して、相手チームの方にもスナップドラゴンをできるだけアピールできればいいなと思います。

世界都市でもある、いわゆる京都ブランドも意識されますか。

中山:しますね。

飯野:本社にスポンサードを説得する上で、京都の名前は日本を代表するブランドですから、やりやすかったのではないですか。

中山:京都と言うと誰でも知っていますから説明しやすかったです。あとは、私が京都生まれですというのは言いました(笑)。

京都の「革新」という気質と親和性を感じます。サンガが歴史あるクラブながら、今挑戦を続ける部分でも合致している印象があります。

飯野:現状のサンガが成長過程にあるアグレッシブなクラブであることと、チームのプレースタイルは、中山社長たちの営業スタイルと一緒なんです。偶然かもしれませんが、アイデンティティーの相性がいいんです。

(左)飯野晃 (右)クアルコムジャパン 中山泰方 社長

飯野社長は今後、今回のスポンサードを追い風にどう成長を目指したいですか。

飯野:今までJ2時代が長く、J1に上がってからも残留争いをしてきましたが、J1で上位争い、優勝争いをし、ACLでも活躍できるようなクラブを目指しています。今季、チームは2歩も3歩も先んじて優勝争いをやってくれていますが、クラブとしての地力をまだまだ上げたいと思っています。フロントは一丸となってクラブを成長させることに注力していきます。今回のような外資企業の日本法人によるスポンサードは、新しいケースなので、ぜひ成功事例にしていきたいです。

中山:毎年少しずつスポンサードの規模を上げていけるように努力していきます。